諏訪バーチャル工業団地設立準備会 議事録2 

1997年10月28日 岡谷市役所

出席者(敬称略):
大木(テクノクリエイティブズ顧問)、
浜(岡谷市役所)、
坂爪(サカヅメエンジニアリング)、荒井(日拓精工)、
小林(諏訪工材)、古畑(NEXT、西部製作所)、
小川(茅野工業)、宮沢(信和工作)、井口(マルゴ工業)、
小島(コジマ工業)、小口(ダイヤ精機)、


大橋、松井、岩田(インダストリーウェブ)

オブザーバー: A氏(A技術士事務所)

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1.自己紹介

2.会費徴収について

・現状のまま様子を見ながら、機が熟すまで無料のまま行きたいがどうか?
 ->無料の期間を限定してはどうか?
  例えば最初の3ヶ月間とか参加企業が100社になるまでの期間を
  無料とし、それ以降を優良とする。

 ->しばらく無料でやっていくのはよいが、その間に発生した費用は
  しっかりと記録を残していくべきだろう。

・以上を踏まえて、しばらくの間は無料とし、
 その間はインダストリーウェブで費用管理をすることで合意を得た。
 無料の期間や条件については、インダストリーウェブで検討する。


3.現在までの動きに関して意見交換

・メーリングリスト(ML)(svip@avisnet.or.jp)
 開始後1ヶ月で90件の投稿があった。
 流すべき情報は探せばいくらでもあることがわかった。

・[svip:50] で流れたアルミ研削の仕事はその後どうなった?

 ->反応がまったくなく、立ち消えになってしまった。

 ところが、この会議の場で「心当たりがある」と言い出したメンバーが
 3名ほど登場した。本来ならMLに発言して欲しかったのだが・・・

 ->情報をオープンにして蓄積していくことが重要だ。
 ->効果が上がる速度は緩慢だろう。ある程度の規模にならないと
  うまくいかないのではないだろうか?
 ->インターネットやメールの輪を広げていくことが重要であるが、
  企業の創始者のような大先輩達とは意識のギャップがある。

・下諏訪町では1社につき5万円を補助してPCネットワークを
 構築しようとしている。
 「イルダス」という企業データベースを製作し、外部から企業検索が
 出来るようになっている。ただ、その存在を知ってもらうのが
 なかなか大変で、アクセスが増えるのはこれから先だろう。
 以前から配布している紙の企業案内を見ての問合わせのほうが多い。

・池貝製「ひとつぼくん」という機械で加工をして欲しい、
 という依頼があった。
 ->特定の機械・装置での検索を実際にやっている企業がある。
  ホームページにそうした情報を載せておくことは非常に重要。
  ホームページに書かれていたあるキーワードで
  連絡が来るということがあるようだ。
  ホームページに機械の型番を載せる場合オプションとかスペックも
  書き加えるようにするだけでも違う。


・1ヶ月間の感想は?

 ->なかなかPCを開く時間がない。返事を書くまでに
  いろいろと準備が必要なので大変だ。
 ->メールを読むだけで手一杯で返事を出すまでに至らない。
  役に立つホームページの紹介などもあるが、それを自分で
  見に行ったり、検索したりする気力がない。
  また、たまに開くと何十通も入っていて読み飛ばすこともある。
 ->「見た」「了解」など一言でも反応を返すと良い。
  Eメールに慣れることがまず必要だ。
 ->仕事でオゾン関係の情報を集める必要があり、インターネットで
  検索してみたところ、いろいろと情報が出てきた。
  探す気さえあれば、有効な情報収集のツールになる。
 ->当社はチャックを扱っているが、それに関係した特定な機械装置を
  所有している企業インデックスをインターネットを使って作成している。
 ->能動的にネットワークを動かしていくことが重要である。
  ただホームページを作って置いておいくだけでは意味がない。
 ->ビギナーからすると、メーリングリストの投稿数が増えてくると
  入り込むタイミングが難しい。
  また、発言者の間で特定のグループが出来てくるので
  よけいに入りづらく感じる。
 ->「メーリングリストがどうの」というよりも、パソコンや
  電子メールそのものがなかなか簡単に使えるものではないので、
  入り口でつまづくことが多い。


4.企業の情報化の現状について (大橋氏より)

キーワード:
 ・BPR (Business Prosses Re-engineering)
 ・コンカレントエンジニアリング

情報化によって、企業のリソース(資源)を結びつけていく動き。

日本の大手企業では、ERP (Enterprize Resource Pranning)と呼ばれる
統合業務管理システムのパッケージソフトを営業・設計・製造・販売などの
各部門の情報を一元的に管理しようとしはじめている。

この動きは、一つの企業だけでなく、周辺の企業と有機的に結びつく形で
展開していくと考えられる。


5.A氏(A技術士事務所)より

私はもともと生産管理業務に携わっていて、「管理」を専門としている。

現在は、中小企業の技術振興という名目で行われる、公の補助金・助成金などの
施策を決定する際に、政策提言をするのを仕事としている。

中小創造法(創造的な活動をしている企業に開発研究費を提供する)を
運用していく上で、いくつか気になっていることがある。

 ->日本の中小企業は世界的に見ても「保護されている」と言われるが、
  実際のところは何かが欠落しているのではないか?
 ->現在のような大雑把なものでなく、もっときめの細かい施策に
  していかないと実効が出ない。
 ->中小企業は、「地域の性格」というものの影響が大きいと思う。
  そこで、地域の特性に合った施策をしていく必要があるのではないか。

こうした考察から、地位地域で効果ある施策をするために、
何が必要なのかを実地調査することにした
よくあるアンケートや国・自治体などの調査では、「たてまえ論」ばかりが
目立ち、実状がよく見えない。
だから、現場の声をもっとよく聞きたいと考えている。
今回の訪問の目的も、それによるものである。

今日の議論を聞いていて感じたことだが、「情報」の問題を議論していく場合、
他の地域では、その方面の専門家ばかりで議論していることが多いが、
諏訪バーチャル工業団地はそうではないようだ。
議論になっていたように、情報を積極的に出していくまでには、
なかなか時間がかかるのが現実だ。
しかし、情報を「受信」するためには「発信」することが必要である。
そうした第一歩を踏み出せるように意識を高めていくのがよい。
情報の量が多くなると、情報の洪水になる。
そのためには「タイトル化」して要点だけを出していくのがよい。

東京でも新しい工業団地の動きがあるが、それは主に「環境問題」や
「ゼロ・エミッション(無公害)」から来ているものが多い。

「企業情報」については、大田区に「企業リスト」があるが、
ポイントが抜けている。例えば「オークマの機械」というように型式は
載っているが、そのオプション装置について記述されていない。
実際にはオプション装置の使い方によって企業の差が出る。

「技能の伝承化」についても考えていかなければならない。
「ものづくり」は人の感覚である。なんとか表現できないだろうか?

企業振興の施策のマニュアルを5年間進めてきた。
ぜひ諏訪地方でも参考にして欲しい。
企業振興ということで、情報化も含めていろいろな施策をやってきたが、
なかなかついてこれない零細企業についてどうすべきか悩んでいる。
一口に「中小企業」といってもその範囲はピンキリである。
大田区も零細企業が非常に多い。それには、土地問題や公害・騒音問題などで
大企業がその地にとどまれなくなったという背景がある。
その一方で、「技術」が非常に集積している地域でもある。

例えば、キー溝専門の小さな企業があるが、他ではできないような長い軸に
キー溝を切る技術を持っているため、全国から引き合いがある。
小さい企業は小さいなりに、よそにはない技術を持つことで生き残っていける。
「短納期」で勝負していくのもいいだろう。

諏訪は「クオーツ発振器」を開発したことで発展してきたわけだが、
世界に先駆けて開発したという精神を大切にしていくのが大切だと思う。

地域振興という見方では、もはや「大手・下請け」でやっていく時代ではない。
ひとつ技能を持ったら、そこからどんどん多頭化していくようになるだろう。

これからの世の中に必要なものに自分の企業の技術をどう使うかを
考えていかなくてはならない。
「持っている技術で何をやろうか?」ではうまくいかない。
「今までと違う何が必要になるのか?」という視点で考えていくことが重要だ。


質疑応答および自由討議

・補助金というのはたいていの場合タイミングが悪いようだが?
 これからやりたいことというよりも、内容的にほぼ確立しているものでないと
 補助金としては活用できない場合がほとんどだ。

・通産省がやっている、新技術に対する補助金の制度も、
 「半額」という部分がネックになっている。
 1億の事業に対して5千万しか補助してくれないので、
 残りの5千万は自分で工面しなくてはならないのだから、
 なかなか思い切ったことができず、事実上「使えない」と思う。

・下諏訪では企業が自分たちで企画したことに対して補助金を与える。

 ->A氏
  アメリカと違って日本では補助金がうまく利用できないから、
  上に上がっていくことができない。
  国は補助金の大まかな枠を決めて県に降ろし、それを受けて県は、
  各地域に合った金の使い方をしていかなくてはダメだ。
  地域の特性によって、補助金の使いやすさは変わってくる。

・諏訪は坂城と比べてラッキーな地域だと思う。
 戦争のおかげで生糸が栄え、さらに精密工業まで転がり込んできた。
 その意味で、諏訪の人々は自分から探しに行くことをしない。
 もっといえばクリエイティブな部分が少ないと思う。
 坂城は自分たちでどんどん探しに行き、そのためにお互いに協力する
 という体質がある。
 言い方は悪いが、諏訪の経営者は舌は肥えているが、
 能動的に取りに行こうとしないのではないか?


6.自由討論

・ダイヤ精機テレカプレゼントに1ヶ月で11名の応募があった。
 予想外に少ない。コメントを書くのがイヤなのだろうか?
 今後もみなさんの応募をお待ちしていますのでよろしく。

・大手企業の調達情報などをメーリングリストで流しているが、
 実際に調達のホームページを見に行ったか?

 ->中にある情報が多すぎてとても見きれない。
 ->本当に我々を取り引き対象として考えてくれるのか不安がある。
 ->いや、大手もけっこう真剣に考えているのではないだろうか?
  ホームページに載せるということは、公開入札と同様の意味を持っている。
  むしろ、既存の納入業者が必死になって見ている。

・情報が多すぎるという意見があったが、例えば誰かが代表してページを
 見に行って、そこにある情報を選別してくれれば重宝するのではないか?
 それが有効なものならば、諏訪バーチャル工業団地の有料コンテンツとして
 検討する価値があると思うがどうか?

 ->下諏訪では、アンテナを立てて必要な情報だけをそこに投げてもらう
  という形を取っている。情報の密度が高まる。
  ただし、知名度が上がってこないと入ってくる情報も少ないのが悩みだ。

 ->情報を受信・発信する上では、ホームページの見せかたの技術が必要だ。
  製造業向けの情報だけを見せれば、受信・発信の両者にとって有意義な
  ページになるし、情報の整理も容易になる。


7.設立イベントについて

・現在はメーリングリストなどでバーチャルな会議をやっているが、
 実際に全員を集めて設立イベントをやる必要はあると思うか?

 ->実際に顔を合わせる機会は必要だろう。
  人柄などを知っておくと、メーリングリストの投稿記事の
  向こうに顔が浮かんでみえる。
  私自身もめんばーのみんなに知っておいてもらいたいと思う。
 ->普段は適当なインターバルで集まればよいのではないか?

それでは、設立イベントを開催するということで検討していく。

・メンバーに一斉連絡をする必要があるが、メールだけでよいのか?

 ->メールを開封したかどうか知ることができればよいが・・・
 ->そういうソフトウェアがあるらしい。
  トラフィックが増えないという触れ込みのようだ。
 ->「開封した」のと「読んだ」というのは違う。
 ->メールを読むか読まないかは本人の自由だが、メールを読むように
  仕向けるためには、読まないと損をする情報を流すようにするのが
  得策だろう。
 ->そうはいっても緊急な連絡などでは電話やFAXの利用も必要だろう。
  これからパソコンや電子メールを導入しようという企業にも
  どんどん参加してもらわなくてはならないわけだし。

必要に応じて、電話やFAXも活用していくことにしよう。
ただし、最低限電子メールは利用するのが大切だ。
自分がどんな情報を出せるかを確認する意味と、
自分の考えを整理するという両面の効果がある。


7.今後の活動

・設立イベントの立案
・FPAN(調達フォーラム)との交流会の開催
・各種補助金制度の研究・活用


以上で議事は終了。



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