諏訪バーチャル工業団地(Suwa Virtual Industrial Park)

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様々なプロジェクトや、技術開発や、製品が生まれています!
  自社ブランドのストレージが米国第2位ドットヒル社からの受注を獲得しました。

日拓精工(NASSO) 荒井 潔氏

NASSO image
公式サイト】 NASSO Web Site http://www.nasso.co.jp/


〜 染色業から世界的なストレージメーカーになるまでの経緯 〜

★ 江戸小紋(染色業)の家業を継ぐ
 

荒井氏は、祖父が明治に創業した荒井捺染工場の三代目として生まれました。和装染色(型友禅)業を営んでおり、将来家業を継ぐことを意識して、大学は工学部で工業化学を学ぶ。卒業後はすぐに家業を継がずに、大手デバイスメーカーの研究要員として半導体製造プロセス開発に携わる。
その後、訳有って故郷に戻り三代目として家業を継ぎ、職人芸であった調色を定量化するなど、染色産業界の技術革新に献身的な働きをする。しかし、斜陽産業で仕事量の低下は著しく、将来展望を描けなくなり1980年に染色業を廃業する。

★ カメラ部品組立会社創業
 

大手精密機器メーカーの末端の下請けとして、カメラ部品の組立を行なう日拓精工を創業。キャッシュフローも底を突き、資本投資できない状況での仕事選びは「組立」だけだった。さらに地元での人脈の無いことに気付き、諏訪・岡谷で人的ネットワークを持つため、青年会議所へ入会する。
当時の目標は、大手メーカーの一次下請企業になることで、他の会社がやらない難しい組立仕事を集めてやってきた。
しかしやっとつかんだ一時下請け先であるマミヤ(佐久市)が 1984年倒産する。

  現:(株)マミヤ 【http://www.mamiya.co.jp
            【http://www.mamiya.co.jp/camera/camera_jp.htm

親企業の倒産を契機に脱カメラを模索し、自社の下請けとしてのあり方を考え直す事となった。会社の規模を縮小し、電子機器の組立及び機械制御の配線工事へ業務を転換。
その後、制御機器組立に転換する。「下請け」ではなく「自社製品開発をしたい」と強く考えるようになる。

★ 情報機器産業へ突入
 

1987年、青年会議所で知り合った(株)平出精密を核として岡谷市出身のコンピューター・エンジニア I氏と出会う。I氏はシリコンバレーと岡谷を行き来し、ハードディスク ・ サブシステムの生産事業を始めていた。当時は「トマト」というブランド名でハードディスク ・ サブシステムを製造販売していた。
I氏から「SCSIで繋がるハードディスクを作りませんか?」という話を持ちかけられ、情報機器産業分野へと乗り出す。荒井氏はコンピュータのハードウェアを猛勉強し、特にSCSIインターフェイスが得意分野となる。
マミヤの下請に従事していた頃に量産組立やコンピュータによる生産管理のノウハウを蓄積していた日拓精工にとって、生産管理は得意とする分野だった。

I氏のノウハウ ・ (株)平出精密の板金試作技術 ・ 日拓精工の生産管理ノウハウ。
この3つの要素が最強のストレージ生産に繋がる。

この事業転換は時代の先を見ていた。会社の業績が上向き、N 社のサポートも行う様になる中で、様々なノウハウを蓄積していった。さらに新製品の開発を請け負う中で、製品開発のノウハウも蓄積していった。

※ストレージとは?
アメリカではキッチンの冷蔵庫の横あたりに様々な物を入れておく納戸のことを「storage」と言うそうです。そこから、コンピュータのデータを保存するハードディスクのことを「デジタル・ストレージ」と呼ぶようになったとの事です。

 

★ 「いつか自社製品を作りたい」
 

1994年、第一号自社ブランド【NASSO NSVシリーズ】続いて【NASSO-3】を開発・販売。
日拓精工のハードディスク用ケースはシステムエンジニアの過酷な使用状況にも耐え得る、信頼性の高いものとして評価される。
日拓精工は常日頃から顧客と接触し、生の声を聞くことで、真に求められる製品を供給することができた。「自社ブランド製品を持つメーカーになりたい」という意欲を持ち続けたからこそ、意識的に蓄積されていったものだった。

※NASSO製品の特長

冷却特性グラフ *ハードディスクはまず冷やせ!!

【そのシステムで可能な限りの冷却特性が得られるエアーフロー設計を適用】

高速回転するハードディスクは、熱が出る。
この発熱がスピンドルをはじめ、機構部品の寿命を縮める。 熱膨張によって熱暴走を誘発する。

*信頼性は電源で決まる!!

【超高信頼電源の採用・さらにNASSO-3ではUPSを内蔵】

上記熱暴走以外のハードディスク・クラッシュのほとんどは電源に起因している。
まずは十分な電源容量を確保する事。
電源の寿命は電解コンデンサーで決まる為、長寿命品で固める。
さらに作動環境温度を下げる事。

*データーケーブルは信頼性重視

 【全てエージングテスト合格品を使用】

高速転送されるデーターケーブルはインピーダンス特性と信頼できるコネクターとターミネーターが欠かせない。


※RAIDとは?
複数のハードディスクを使い、ディスク速度を上げたり、データー復旧機能を持たせた究極のデーターストレージで、使い方により大体5つに分類される。
RAID 0 ストライピングと呼ばれ、1つのデーターを複数のHDD に分割同時記録する。
スピードは上がるが、データー復旧機能は持たない。
ビデオなどのノンリニア編集等に活用されている。
RAID 1 ミラーリングと呼ばれ、1つのデーターを2つの HDD に同時記録する。
まったく同じ物が二つ生成される為、物理的に1つの HDD が壊れてもデーターが失われる事が無い。
RAID 0+1 ストライピングのスピードとミラーリングの信頼性を併せ持った最も贅沢な構成である。
RAID 3 HDD 3台以上必要とする。
複数の HDD に分割同時記録する際、その演算結果をパリッティーと言う形で専用 HDD に記録する。数学的には未知数1つに式1つ 逆算する形で リビルドされ、壊れた HDD のデーターが復旧される。よって、同時に2つ以上の HDD が壊れると復旧は不可能となる。
RAID 5 RAID 3 と理屈は同じですが、パリティーデーターも同時に分割記録される為、ディスク容量に無駄が無く効率的である為、現在はほとんどがこの方式か、その応用となっている。

※1U 2Uとは?
通信機器他、サーバー機等ではたくさんの機器を同時並行的に使う為、ラックに積み重ねて使う形態が一般的になっている。欧米から普及してきた為インチサイズが標準となっていて EIA 規格が多く使われている。
EIA 19インチRackの積み重ね高さの基本単位が 1U で 44mm である。
すなわち 2U は 88mmである。

 

★ 米ドットヒル社からメールでコンタクト
 

2000年6月、独立系ストレージメーカー全米第2位規模:ドットヒル社の商品企画最高決定権を持つダナ氏が、インターネットを使い全世界から希望のストレージを検索した。結果2個だけがヒット! ダナ氏はすぐにメールで荒井氏へ連絡を取った。
 荒井氏は事の真意を測りかねたが、dotHill Japan 立花社長の仲介を得て事の重大性を改めて知る。当時 8台構成の 2U Rack Mount RAID System は世界的にも例が無くサンプル納入された試験機が性能試験の結果インターネットホームページに表示した仕様を完全に満たし、所定の性能を発揮した事が高く評価された。

翌2001年1月 dotHillのエンドユーザーより 2U から 1U へ仕様変更の要求があり、荒井氏は 予め用意していた 4HDD 1U の提案を行い正規採用へ大きく1歩を踏み出した。
しかし、全世界に売る為には安全規格 (UL) の認証、電磁波に対するUSA安全規格(FCC)、ヨーロッパでの安全規格 (CE) の認証等、製品は出来ても商品にする為のハードルは高く、約半年をかけて一つ一つクリアして量産受注に漕ぎ着けた。
その時、長野県精密工業試験場の各種 EMI対策試験設備や宮下技官はじめ多くのスタッフのバックアップが荒井氏の開発に大きな追い風となった。

★ 「自社ブランドへの道は、一夜にしてならず」
 

「いつか自社製品を作りたい!」という想いが潜在的に荒井氏の頭の中にありました。
自社製品を持つメーカーには一昼夜にしてなれるものではありません。
ずーーーーっと長い間考えに考え、思いつづけて実現できるものです、と荒井氏は話されました。
また、青年会議所やNIOMで知り合ったメンバーとの繋がりが、最重要の役割を果たしています。

実際、メーカーになることは難しいことです。金属加工業の集積地としての諏訪湖周辺地域で、自社製品のメーカーをとっさに10 社あげるのは難しいことですが、荒井氏は長年の夢を叶えました。氏は今後も新たな製品を作るべく、日々試行錯誤は続きます。

 

〜 掲載された新聞記事 〜

>> 日刊工業新聞 :
      「PCサーバ用ストレージケース 米ドットヒルから受注 HDD搭載技術が評価」
 

日刊工業新聞掲載写真 日拓精工は、米国の大手ストレージ(外部記憶装置)メーカーであるドットヒル・システムズ社から、PCサーバ用ストレージケースの大量受注に成功した。日拓のホームページを見たドットヒルが日拓の技術に注目、1年余りの交渉と評価試験を経て2002年6月までに最低1000台、1億円を超す大口商談がまとまった。日拓の年商は倍増する。

最低1000台確保、年商倍増へ

 IT関連企業は厳しい状況にあるが、PCサーバ用ストレージはインターネットの普及と大容量化により需要増が見込まれる。ドットヒルはワークステーション用を中心に中・上位のストレージが主力で、PCサーバ用製品の開発を急いでいた。日拓精工はこれまで自社ブランド「NASSO」とOEM供給でPCサーバ用ストレージを製品化していた。
 ドットヒルが注目したのは、ハードディクス駆動装置(HDD)を省スペースで数多く搭載する技術。日拓が99年に製品化したストレージは当時、その規格サイズの中で最多の    HDDを搭載、大きな記憶容量を誇った。商談は、昨年5月にドットヒル最高技術責任者(CTO)が日拓のHPを見て、英文電子メールを送ったのが始まり。「真意が分からず、対応しかねていた」(荒井社長)ところ、ドットヒルの日本法人から電話が入り、本格的な交渉に進展した。
 6月に評価試験用にストレージを納入。3-4ヶ月で採用が内定したが大口ユーザーの意向でケースサイズ変更があり、01年1月に改めて評価機を納入しドットヒル仕様での量産試作、2機種目の追加、電磁ノイズ対策などを夏までに済ませた。正式に1000台のコミットメント(最低保証)が示され、本格納入が始まったところだ。ケース納入とはいっても、ドットヒルは制御回路基板を組み込み、HDDを搭載するだけで完成品になる。取引の実態はOEM供給に近い。
 日拓の01年4月期売上高は8000万円。ストレージの販売実績も年間100台程度。荒井社長は「ネットが大量受注に結びつくなんて、宝くじに当たったようなもの」と話すが、ドットヒルは「現在の2機種1000台は最低線。8機種までバリエーションを広げる」(立花正穀ドットヒルシステムズ〔日本〕副社長)意向だ。 (日刊工業新聞:2001年11月7日より)

>> 日本経済新聞 : HDDケースを供給 日拓精工、米社向けに1000台
   コンピュータ周辺機器開発・製造の日拓精工は米国のデータ記憶装置メーカー、ドットヒルシステムズ(カリフォルニア州)に対し、ハードディスク駆動装置(HDD)薄型収容ケースをOEM(相手先ブランドによる生産)供給する契約を結んだ。2002年6月末までに最低千台生産し納入する。
 薄型収納ケース「1U-Rack Mount RAID」はHDDが4台入り、高さは44mmと薄い。薄い板金製で、軽くて持ち運びも容易だ。ケース内の熱を外部に逃がす工夫も凝らした。複数のケースを接続できるタイプも開発した。
 同社の2001年4月期売上高は約8000万円だが、ドットヒルからの千台の受注により、最低でも売上高が倍増するという。
 さらにドットヒルは「年間2000〜3000台は発注できる」としている。日拓精工の資本金は300万円。従業員は5人。(日本経済新聞長野経済欄:2001年9月29日より)
>> 長野日報 : 「日拓精工の【レイド】 HPで製品評価、実現」
  長野日報掲載写真 コンピュータ周辺機器製造販売の日拓精工が開発した、複数ハードディスクシステム製品(レイド)が、独立ストレージ(データ集積記憶装置)業界では全米2位のドットヒル社から年間千台の量産注文を受けた。
 日拓精工のホームページを見たドットヒル社が、同社の製品を高く評価して実現した。「レイド製品は年間千台売れるのか」という同社にとっては大量注文。ドットヒル社によると、最終的には年間2千台〜3千台を予想しているという。
 受注を受けたのは、複数のハードディスクを使ってアクセスを分散させ、高速化や信頼性を高めた装置「1U-Rack Mount RAID」。データ処理の高速化を実現し、冷却効率が良いなどの特長がある。県精密工業試験場の協力で欧米の厳しい電波ノイズ規制もクリアした。
 荒井社長は「世界をテリトリーにするドットヒル社のメーン商品の一環として採用され、名誉なこと」と話している。 (長野日報:2001年10月5日より)
>> 市民新聞 : 「インターネット通じ 米国大手からの量産受注に成功」
 

 機械金属加工の日拓精工は、28日、ホームページを通じて、自社開発のコンピュータ周辺機器製品レイド(商品名:ライド・ブレイド、ジェイボッド・ブレイド)が全米第2位の規模の独立系ストレージ(記憶媒体全般)メーカー・ドットヒル社からの量産受注に成功した、と発表した。
荒井社長は「細かい要求に対して、柔軟に対応できたのは、諏訪地方の技術基盤が幸いした。この成功が諏訪の平らにいい影響になってほしい。またある一定の経済効果があると思う」と喜びを話した。
 同社は1999年ホームページに2U-Rack-Mount-RAIDを掲載。ドットヒル ジャパンの立花毅社長から連絡があり、ドットヒル側が評価機を購入。市場の流れから、高さ寸法である2U(88ミリ)を1U(44ミリ)に変更した。今年5月には精機商品としての採用に向け、ドットヒル仕様で量産試作10台を受注。EMI(電磁波障害)対策の認証である米国のFCC、ヨーロッパのCEを取得するため、岡谷市の県精密試験工業試験場の全面協力を得て開発を進め、浅間テクノラボで認証試験をクリアした。8月には年間1,000台の量産受注に成功した。
 立花社長は「世界一位のプロバイダーから1,000台の注文を受けた。現在は二種だが、八種類のモデルを作り、予想では2,000台〜3,000台を売る見込み」と製品普及拡大の可能性に期待している。(市民新聞: 2001年9月29日より)

〜 (有)日拓精工 沿革 〜

1980年5月1日 創立(カメラ部品組立)
1984年3月 電子機器の組立及び機械制御の配線工事へ業務を拡大
1987年5月 コンピュータ周辺機器を中心に開発製造開始
1994年4月 自社ブランドNASSO NSVシリーズを開発・販売
1995年11月 自社ブランドNASSO-3 HDDシリーズを開発・販売
1996年9月 NASSO-3によるUW-SCSI RAIDを開発・販売
1997年3月 NASSO UW-8 RAIDを開発・販売
1997年11月 UW-8 RAIDを(株)パワー・(株)ニューテックにOEM開始
東京事務所開設
1997年12月 UW-8 RAIDをシステムクリエイト(株)にOEM開始
1998年9月 NASSO SMALL RAIDを開発・販売開始
S-RAID Plusを(株)ウィンドウにOEM開始
1999年1月 ロジネットサービス(株)OEM開始
テックパーツ(株)OEM開始
2000年11月 東京事務所 岩本町へ移転
2001年1月 (株)平出精密と営業提携を確立
2001年9月 米ドットヒル・システムズ社へRMR1AをOEM開始
NASSO Web Site:::http://www.nasso.co.jp/より





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