インターネット受注研究会議事録(第7回) 

インターネット受注研究会議事録

2月20日 岡谷市役所 204会議室

出席者:大木(テクノクリエイティブズ)、小林(諏訪工材)、小口(ダイヤ精機)、増沢(日本青銅)、
    佐藤(共栄電工)、井口(マルゴ工業)、小宮山(岡谷市)、小島(コジマ工業)、桜井(高島産業)、
    大橋(インダストリーウェブ)、岩田(インダストリーウェブ)、平林氏(セイコーエプソン)


(大橋氏より)

・飯田市でバーチャル工業団地をつくる動き。

 1月20日に大橋・岩田の2名で飯田市に出向き、諏訪のバーチャル工業団地の経緯と現状について
 講演を行なった。飯田市でも製造業におけるインターネット利用について非常に関心があり、
 パス研究所の西沢氏の助言を得てバーチャル工業団地を立ち上げたいと考えている。
 今後は、飯田市と、諏訪バーチャル工業団地(以下S_VIP)の間で連絡を取り合っていきたい。


・長野県内のアパレル業界でインターネット利用の動き。

 ?月?日に、大橋が講師として招かれ、インターネットの現状について説明をした。
 これは、長野県情報試験場の指導で、アパレル業界でもインターネットを活用しようという動きであり、
 ニット屋さんでは、インターネット上で衣料品の受注をしている企業がすでにあるということである。
 アパレル業界自体が、デザインから製作・販売までの分業がシステム化されているため、インターネットが
 有効な手段になる可能性は非常に高い。


(大木氏より)

・浅間テクノで「バーチャルパーツセンター」立上げの動き
 
 2月24日に最終報告がされ、来年度から参加企業を募集していく方向。
 ホームページ上で各社の製品(部品)を紹介して、受注につなげたいとしている。

・軽井沢で、「国際産業交流フォーラム・イン・ナガノ」が開催される。参加無料。

 基調講演T
 「米国のホットゾーン「ジョージア州」経済発展の離陸と上昇
  講師:ジョージア工科大学 レバンアレン カレッジ
  学長 ロバート ホーキンズ 氏

  基調講演U
 「未来社会の到来に向けた米国シリコンバレーの軌跡と地域内連携」
  講師:スタンフォード大学教授
  ウィリアム ミラー 氏

 国際対談
 (1)地域の企業経営者より問題提起
 (2)上記基調講演者と慶応義塾大学 相沢秀雄氏との対談
  「情報化社会と産業活性化をどう考えるか」

 是非参加して欲しい。

・長野県商工部が、諏訪での動きに非常に注目し、方向性を探っている。

・本の紹介

 「むらの中の工場−産業空洞化の中で−」
  発行:河北新報社、2266円
  内容は東北の工場地域の空洞化です。諏訪エリアと似たところもあるし、違いもありますが、
  結構各社の状況が詳しく出ていて、これから頑張ろうとする社長さんには役立つ本かも知れない。
  インターネットには関係ないです。

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<本日の議題>

  データベースとして考えた場合のホームページの作成ノウハウ
 どういった内容にすれば売り込み先の担当者が興味を持つか?
  「先方」の必要とする「情報」ははたしてどんなものなのか。
 ON、OFFでの売り込み方法の検討、事例報告等々、メール等を使った「売り込み」の方法論
  大手の資材調達に対する考え方、インターネットに対する考え方を交流する。

以上レジュメ

今回は、発注側(買い手)の立場から、セイコーエプソンの平林氏においでいただき、
インターネット受発注に対する、発注側の意見をお聞きし、データベースとして考えた場合の
企業ホームページ作成のノウハウについて議論する。



<議事内容>

まず、S_VIPを中心とした最近の動きから議論が始まった。

・現在、ホームページ(S_VIP)から仕事の引き合いがかなりあるようである。
 実際に仕事を取った例もある。個別にきている例が多い

 しかし、入ってきた情報をどのように回していくのか、はっきりしていない。
 
 個別の企業に入ってきた発注情報を、他の企業に流すことにはやはり抵抗がある。
 実際に、ある仕事の情報を持って企業をまわったところ、「この図面は前に見たことがある」といった事例があった。
 得意先企業のバッティングは現実問題として起こっている。
 今まで付き合いのない企業を見つけるのはなかなか難しい問題があるようだ。

このあたりから、平林氏へのQ&Aになってきた。

Q.どのように新しい取引先を探しているのか?

 A.中小企業振興公社などに依頼してメーカーを探していたが、実際にピックアップされるのに
   1〜2ヶ月かかる。現在のように、商品のライフサイクルが3〜6ヶ月になってくると、とても待てない。
   従って、より早く情報を得たいと考えており、インターネット上で有効なデータベースがあればよいと思う。

Q.実際にインターネット上で探すこともやっているのか?

 A.担当者全員ではないが、(自分も含めて)やっている。納期的に追い込まれた場合などは、
   ホームページの情報を見て飛びつく場合もある。
   ただし、最終的には実際に工場を見にいって決める。
   仕事のサイクルとして、山と谷があるが、山の時に良い外注先を探しておきたい。
   メーカーを多く知っておくことが必要である。例えば、「試作だけならば出来る」というメーカーが欲しい。
   その点で、探す手段として有効なものが欲しい。

Q.現状のインターネット上でのメーカー検索についてはどうか?

 A.検索エンジンなどはいろいろあるが、工業情報については探しにくいことが多い。
   キーワードがうまく当てはまらず、検索結果が少ないことがとても多い。
   また、ホームページを見ても、業務内容や能力がよくわからない企業が多いし、
   内容を良く見ずに飛ばしてしまいたくなる企業ページも多い。

Q.社内に外注先を探すデータベースは持っているのか?

 A.現状では、新しい取引先のデータは少ない。
   また、データベースを作ったとしても、メンテナンスの点でデータの「陳腐化」が心配。
   (やはりホームページはデータベースだとおもいます。それも親会社がつくるのではなくて
    企業自ら作るデータベースです。自分でつくれるのだから「うそ」もつけますが、
    やりかたによっては人にはできないアピールのやり方も自分の能力でできますね。大橋注)
 
Q.陳腐化する情報とそうでない情報とがあると思うが、実際に会社を見にいってどんなところをチェックするのか?

 A.最も重要視するのはやはりコストの問題で、これは直接会って話をしないとわからない。
   また、品質保証の体制(検査機器など)が整っているか、などだ。

Q.ライバル社と取り引きするところは敬遠することがあるか?
  中小企業としては親企業からきた図面の扱いや情報の扱いにはとても気を使うけれども
  案外親企業そのものは試作等を除いては気にしていないようにも思えるが。

 A.基本的にはあえてそういう企業を避けることはない。

これに対して各参加者より、実例が出された。

・試作部品などで、ライバルメーカーがバッティングすることが中小企業にはよくある。
 同等な製品に対して「A社はこういう手法で、B社は違う手法だ」と、わかる場合もある。
 もちろん、具体的な内容を他言することはないが。

・その製品(部品)を独占的に扱う場合に、受注側が発注側より強い姿勢になる場合もある。
 技術力があれば、「この部品はこうしたらいかがですか?」という提案もしていける。
 最近では、発注側が技術の空洞化を避けるために仕事を分散することが多いようだが。
 大手からも取り引き企業に対し技術指導もする姿勢はある。必要である。


Q.インターネット以外では、他にどのように取引先を探すのか?

 A.「口伝え」によるところも多い。つきあいのある商社などを通じて紹介してもらう場合などだ。
   ただし、同じ系列の企業ばかりになってしまうので、インターネットなどで広く探すのがいいと思う。

Q.社内で外注メーカーのランキングはあるのか?

 A.外注メーカーの評価・審査は一応やっている。
   これは、外注メーカーにも競争力をつけてもらわないと、自社の競争力が弱くなるからだ。



このあたりから、企業ホームページのありかたに話題が移った。


Q.企業ホームページで具体的に欲しい情報はなにか?

 A.実際に製作している部品のイメージや、出来れば具体的なコストがあればもっと良い。
   また、自分の会社と同じような製品を扱っているメーカーと取り引きがある企業ならば、
   自分の会社の製品もこなせるだろうと考える。
   機械設備なども、必要な製品を製作できるかの判断材料になる。
   社長あいさつなどについては、仕事のポリシーなどを知っておきたいので、
   そういった内容ならばあったほうが良い。

   こんなことやってます。こんなことやろうとしてます。
   ポリシー、加工技術、コスト、納期、精度

Q.調達担当者が、機械設備の情報などで判断できるのか?

 A.調達担当者には技術関係のことを知っている人がいる。
   最近は、企画・設計段階から調達部門が入りこんで、上流から品質を作り込むのが重要視されている。

   設備の情報やスペックは必要だと思う、詳しくのせてあれば良いと思う。

Q.企業ホームページを検索するのに適した要素はなにか?

 A.製造業の特殊な用語に対応したキーワードで検索できるのがよい。
   また、検索結果の一覧の中で、概要や特殊技術が把握できるのがよい。
   例として、以前検索をしていた時に「リサイクルできる梱包材」というキャッチコピーがあり、
   実際にそのホームページを見にいった。
   一度ホームページを見に行っても、そこで自分が得るものがなければ2度と行かないだろう。(超重要!! 大橋注)
   もう一度見に行きたいと思わせるホームページの作り方は重要だ。


<S_VIP側から>
・ホームページからカタログや製品サンプルが請求できればいいよね。

・発注側からすると、基本的には「Q・C・D+独自技術」ではないか?
 例えば、Q・C・Dに基づいた企業診断を企業群でお互いに行ない、診断表を自社のホームページに
 載せておくのはどうだろうか?
 自分のところは、コストは弱いが納期には強い、というように、自分の強みをアピールするページだ。
 こう考えると個々の企業もそうだが「団地」そのものも信頼に足るレベルの高い団地であることが
 要求されてくるのではないか。
 なんでもかんでも集まった企業の集団ではだめかもしれない。
 個々の企業が「力・技術をもっていること」がやはり大事。

<平林氏>
 新たな取引先については、状況に応じて判断基準が変わるので、あらかじめ長所短所がわかっているのはよい。
 各企業の簡単な紹介が、S_VIPの入り口に書いてあるといいと思う。



Q.受注側企業から発注側企業に対して、どのように売り込みをしていけばよいか?
Q.企業の窓口アドレスにメールを出した場合、それが調達や技術の担当者に届くのか?

A.窓口のアドレスは、複数の担当者が読むことができるアカウントになっていることが多い。
  したがって、窓口でメールが消えてしまうことはないだろう。
  だが、1日に何百、何千のメールが来るような大企業の場合にはどうかわからない。


<以下、この話題で議論>
・電話のほうが、受けた人間は必ず切らなくてはならないので、ちゃんと回してくれる可能性が高いのでは?

・発注側に売り込むのは、各企業なのか、それともS_VIPのような団体としてなのか?

・それは、両方だろう。ある企業からのメールだけでなく、S_VIPからもメールが入れば、
 「こんな団体に所属しているのか」ということで、見方が変わるかもしれない。

・うちは、技術を売り込むためのダイレクトメールを出している。確率は低いが反応はある。

・メールで売り込むのも、実際に営業するのも同じことではないか?
 相手の企業の姿勢によって、門前払いをくうこともあれば、、話を聞いてもらえることもある。

・メールなどは、数撃てば当たるのではないか?例えば100通打って1通つながるだけでも費用がかからないのだから
 それでも良い。

・でも、内容の長いメールなどは逆に迷惑になるだろう。

・メールを出す以前に、自社の独自技術を誰が必要としているかがわからない。
 つまり、買う側(発注側)を検索できない。
 やはり、ホームページ検索がもっとしやすくなればよい。

・検索のキーワードは、業種や品目が一般的だが、技術レベルについてはどうするのか?
 例えば、「精密」という言葉も、業種によって0.01mmだったり、1μmだったりする。

・それはもう少し先の話になるのではないか?

・検索する側からすると、バーチャル工業団地のような小さなまとまりになっているのは都合がよい。
 もちろん、各まとまりが串刺しになっていればもっとよいが。



今後、「企業ホームページのありかた」「企業検索」「発注側への売り込み」などについてさらに議論を深めていく。
また、「ホームページ講習会」を実施して実際に今回のような議論の内容を踏まえた企業ホームページを作れる
環境・能力を養う必要がある。
やっていこう!!。

次回は3月中旬 追って連絡

3月14日には調達フォーラムの慶応湘南キャンパスでのオフミーティングがあるので出席しましょう。


以上



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